2012年06月08日

実験動物に関して何の改正もナシ――業界の意向を受けた医系議員の抵抗


今回の動物愛護法の改正の議論のなかで、動物実験施設の届出制は論点の一つとなっており、私たちJAVAも動物実験施設および実験動物生産業者を「動物取扱業」として追加すべきだと主張してきました。
ところが、与党民主党の動物愛護対策ワーキングチーム(WT)が取りまとめた改正骨子では、動物実験を擁護する業界の意向を受けた医系議員らが動物実験の規制に猛反発したため、動物実験施設の届出制はおろか動物実験代替法3Rの義務化についても改正を見送るという状態に陥ってしまいました。

※一連の動きについては下記で見ることができます。

削除された「幻の改正案」 医師出身議員らが動物愛護法改正に抵抗
AERA 2012.6.11号(2012.6.4発売)
http://www.aera-net.jp/latest/

動物愛護法改正で「欧州並み」規制なるか
集中CONFIDENTIAL 2012.6.4
http://medical-confidential.com/confidential/2012/06/post-410.html

民主・環境部門会議 実験動物の規制見送り、医療界は警戒
日刊薬業 2012.6.6
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/gyosei/article/1226568545228.html?pageKind=outline


この4月、民主党の動物愛護対策WTで検討された動物愛護法の改正骨子案には
 (1) 実験動物の飼養・保管に関する届出制度の創設
 (2) 代替法の活用及び実験動物利用数の削減を義務化する
との項目が盛り込まれていました。
その直後、動物実験を擁護する業界の意向を受けた与党民主党内の医師や薬剤師出身の議員らが大挙して反対し、5月半ばにはその医系議員らが「動物愛護法から実験動物に関する項目をはずし別の法律として制定する」という別法案を出してきました。

「実験動物に関する項目を動物愛護法からはずす」とは、「実験動物」が「愛護動物」の対象から除外され、動物を守るための規定が実験動物に適用されなくなることを意味します。
そのうえで、別の法律で実験動物(動物実験)を規定することができれば、動物実験擁護派は「日本には動物実験規制がない」という国内外の批判をかわすことができ、今まで以上に自分たちの思い通りに動物実験をやりやすい環境を整えられるというわけです。
つまり、医系議員らが出してきたこの別法案とは、動物を守る法律ではなく、動物実験を守る法律なのです。

法律は一度できてしまえばそれを廃止させることはほぼ不可能です。
別法の制定を許せば、今後50年、100年という長いスパンで、実験に使われる動物は密室に閉じ込められたままになってしまうでしょう。

自分たちの行う動物実験に国や社会の目が届かないように“聖域化”することに腐心し、3Rの実践や実験動物の福祉の向上といった、国際社会ではもはや当たり前となったルールに一向に向き合おうとしない日本の医学界・科学界。
いったいいつまで後ろ向きな抵抗を続けるつもりなのでしょうか?

*****

今回、民主党は動物愛護法の改正骨子をまとめる動きの中で、この<別法>という選択は回避したものの、政治的な取引によって、3Rの義務化や実験施設と実験動物生産業者の登録制など、実験動物に関することは何も改正しないと決めてしまったことはたいへん遺憾です。

今後、動物愛護法改正案は、与野党協議の場にかけられます。
今国会中に、動物愛護法が、真に動物を守る法律へと改正されるよう、声なき動物たちに代わって、引き続き、全力で働きかけていきたいと思います。


※動物実験擁護派による抵抗や海外の状況についてはこちらをご覧ください。

動物実験関連団体は動物愛護法改正にどんな意見を届けているのか
http://www.java-animal.org/jan/111212_3.htm

3Rsの実効性確保と実験動物の福祉向上―進む世界と遅れる日本
http://www.java-animal.org/jan/111001.htm

posted by 化粧品プロジェクトスタッフ at 20:26 | TrackBack(0) | 動物実験
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