2012年06月07日

化粧品の動物実験は「無法地帯」!?――院内集会 開催報告(後編)


いろいろと活動が立て込んでしまい、集会開催から3週間も間が空いてしまいました。ごめんなさい!
以下、論点ごとに報告していきます


EUの化粧品指令と日本からの輸出の関係
「EUが動物実験した化粧品の輸入を禁止した」というニュースに、「日本企業も動物実験をやめざるを得ないのでは?」と考えた方はたくさんいらしたと思います。
いわゆるEUのマーケティング・バン(Marketing Ban)は日本企業にどのような影響を与えているのか?
これについて経済産業省からは「リーマンショックが多少影響したもののEUのマーケティング・バンによる日本企業からの化粧品輸出への直接的な影響はない」との説明がありました。
つまり、日本のメーカーは、EU向けに動物実験の必要のない原材料で処方した化粧品を輸出することで事なきを得ているというわけです。
EUで、域内での動物実験禁止(Testing Ban)だけでなく、域外で動物実験した化粧品の販売禁止(Marketing Ban)が施行されたのは、動物実験を望まない消費者の声があったからにほかなりません。
かたや日本で動物実験を続けながらEUには別の原料で処方した化粧品を売り続ける日本の大手化粧品メーカー。
いくら「法令違反はしていない」とはいえ、販売禁止の制定の背後にある消費者の思いを無視したやり方はいずれ糾弾されなければいけません。

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化粧品業界の動物実験は「無法地帯」
環境省からは「『動物愛護管理のあり方検討小委員会』での議論では『動物実験は規制すべき』という意見と『すでに業界等の自主管理で実態は把握できているから規制の必要はない』という意見とに分かれた」との説明がありました。
では、化粧品業界の動物実験は把握されているのか?
経産省に聞くと「日本化粧品工業連合会は会員企業個別の動物実験については把握していない」。
つまり、どの企業が動物実験施設を持ち、それがどこに所在し、どの程度の動物を飼養しているかを、国も業界も把握していないことが明らかになりました。
ところで「動物実験に関する情報は企業秘密のため明らかにできない」という業界側の主張をしばしば耳にすることがあると思います。
でも、たとえば開発中の新製品に関する情報が、動物実験施設と飼養頭数という情報でつまびらかにされるわけではありませんよね。
業界、特に化粧品業界が的を得ない理由をあげてでも動物実験に関する情報を隠したがるのは、巨額のお金を投じて築き上げてきた美のイメージを、動物実験の残酷なイメージに塗り替えられるのを恐れているからなのでしょう。
同じように「インターネットに流れているような残酷な実験はしていません」という主張もありますが、残酷な実験をしていないという保証はどこにもありません。
つまり、化粧品業界の動物実験は、無法地帯なんです。

※今回の動物愛護法改正の動きの中で、動物実験施設の届出制等の議論に展開がありました。追って別の記事でご紹介します。


厚労省、代替法の活用を促進するガイダンス発出
私たちが4月25日に、厚生労働大臣政務官に陳情に行った翌日、私たちの陳情にこたえるかのように厚生労働省は以下の文書を発出しました。

「皮膚感作性試験代替法及び光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて」
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T120501I0010.pdf

この<ガイダンス>とは、国への承認申請のなかで求められる安全性試験(という名の動物実験)のうち、皮膚感作性試験と光毒性試験については代替法が確立しているので、代替法を使いましょう、という企業の申請担当者向けの手引きのようなものです。
いままで承認申請の現場では、国際的に認められた代替法があっても、いままで慣れている動物実験で済ませられてきたという現状があるということはここでも書きましたが、このガイダンス発出を機に、企業の担当者だけでなく、承認審査する側のPMDA(医薬品医療機器総合機構)にも「動物実験ありき」の認識を改めてもらいたいと思います。
なお、厚労省によれば、このガイダンスは今後どんどん出していくとのこと。
私たちは、さらにもう一歩踏み込んで、確立した代替法がある試験については、「動物実験のデータを受け入れない」という実質的動物実験の禁止を求めます。


代替法開発は学会主導から行政主導へ。省庁横断的取組へ。
国内の代替法開発は、行政主導の欧米と異なり、日本動物実験代替法学会の主導で行われ、化粧品メーカー等会員企業等の手弁当に依拠してきました。
開発した試験法が公的な試験法になる(公定化)までの道筋も不明瞭で、このままでは携わる研究者らのモチベーションは低下するばかりだという懸念の声が研究者の間から上がっていることをJAVAから指摘しました。
科学政策として動物実験代替法の開発推進を図る欧米に遅れないためにも、一学会に任せるのではなく、国として取り組む姿勢を明確に打ち出し、省庁横断での対応体制を作っていくことが求められます。
また、新たに開発された代替法を評価する機関であるJaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)の予算拡充と人材確保が急務であるという問題意識も共有されました。
EU(ECVAM)、米国(ICCVAM)、韓国(KoCVAM)などと国際協調路線をとっているにもかかわらず、予算・人員とも欧米の足元にも及ばず、あとから設立された韓国にも抜かれてしまっているというお寒い現状をなんとしても改善してもらいたいと思います。

*****

私たちJAVAは、化粧品の動物実験は企業努力で廃止できると考え、企業が自主的に動物実験廃止に踏み切ることを求めてきました。
でも、その機運がまだ高まりきっていないいま、国が代替法の開発や公定化をスピードアップさせたり、その予算や人材の規模を拡大したり、あるいは動物実験施設をもつ企業の届出や3R遵守を義務化したりすることが、企業の勇断を促すことにつながるはずだと考えています。

消費税増税法案など今後の展開に予断を許さない国会情勢ですが、この院内集会をスタートに、化粧品の動物実験について国会議員の先生方に大いに問題意識を持ってもらい、国会で積極的に取り上げてもらえるように活動を続けていきたいと思います。



※ニュースでも取り上げていただきました!
 化粧品の代替法開発は政策として取り組む必要――市民団体が院内集会
  オルタナ(ヤフーニュース)2012.5.17
 EUでは2009年に禁止ずみ――化粧品の動物実験に法的規制を
  週刊金曜日(ヤフーニュース)2012.6.5

「化粧品の動物実験を考える院内集会 開催報告(前編)」も併せてご覧ください。

posted by 化粧品プロジェクトスタッフ at 23:07 | TrackBack(0) | イベント
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