2015年06月23日

花王グループ、化粧品の動物実験廃止を公表。資生堂の公表から5年超、国内第2位の満を持しての決断で活動は次のステージへ

JAVAを含む3つの動物保護団体で構成する「美しさに犠牲はいらないキャンペーン(CFB)実行委員会」は、6月22日、東京・茅場町にある花王株式会社を訪問し、花王の常務執行役員、カネボウ化粧品の執行役員ら5名に面会し、1時間半にわたって意見交換を行いました。

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■これまでの経緯
2015年3月5日、JAVAが化粧品企業約1000社を対象に実施したアンケート調査に対して花王は:
「弊社は、化粧品(薬用化粧品を含む)の研究・開発においては既に動物実験を行っておらず、外部にも動物実験を委託していません。今後も製品・原料の自社における実施・外部委託を問わず、化粧品(薬用化粧品を含む)のための動物実験は行わない方針です(※1)。また、トイレタリー製品の安全性確認においても、動物を用いた試験は行っておりません。なお、社会の要請により安全性の説明をする必要が生じた場合は除きます(※2)。
(略)
※2 市場にある製品に関して、改めてその安全性を証明する必要が生じ、そのための選択肢が動物実験しかない場合や、法規制等により動物実験が不可欠となっている場合。」
との見解(150305_kao_answer.pdf)をJAVAに送付。この見解についてJAVAが追加的に送った公開質問状に対して花王は4月13日、化粧品(薬用化粧品を含む)を対象にした薬事申請について動物実験を行っていない旨を回答しました(150413_kao_answer.pdf)。
また、花王の100%子会社であり、研究体制を一にする株式会社カネボウ化粧品も3月、上記JAVAの調査に対して、化粧品及び医薬部外品について、完成品・原料を問わず、自社における実施・外部への委託を問わず、動物実験を行っていない旨回答しました。

一方、今年4月に入り、花王は公式ウェブサイト上で「花王グループの化粧品における動物実験に対する考え方」として、「花王グループは、化粧品(医薬部外品を含む)の商品開発に際し、外部委託を含めて動物を用いた試験は行なっておりません。また、今後も行なう予定はありません」との方針を表明していました。

JAVAならびにCFBは、日本においては、EU等諸外国が実現してきている法的禁止の前に、各企業の自主的な取り組みと決断により、動物実験の事実上の廃止状態を招来できると考え、これまで様々な化粧品企業に働きかけを続けてきましたが、化粧品シェア2位、洗剤・トイレタリーでは国内首位を誇る花王グループが、「動物実験の廃止に向けた動きは世界的なものであり、花王グループはこれに賛同し」、「動物愛護も十分考慮し」ているという前提で、これらの動物実験を廃止したのであれば、日本の化粧品業界においてきわめて画期的な出来事です。
そこで、書面でのやり取りではなく、直接面会してその真意を確認しようと、5月11日、CFBとして面会を申し入れ、6月22日の面会の約束を取り付けていました。

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花王 常務執行役員 品質保証本部長 兼 カネボウ化粧品 取締役/花王 執行役員 コーポレートコミュニケーション部門統括/カネボウ化粧品 執行役員 経営企画部門統括/花王 品質保証本部 副本部長 兼 カネボウ化粧品 品質保証部門統括/花王 品質保証本部安全管理・技術渉外センター センター長 以上5名の方々にご対応いただきました。

■新規原料開発放棄という決断
今回、CFBとして役員らに面会して、廃止という決断と公表に至る経緯を含めた方針の内容についてざっくばらんに話し合いを行いました。そのなかで

化粧品と医薬部外品(※薬用化粧品)について、カネボウ化粧品を含めた花王グループとして、新規原料を配合する医薬部外品(※薬用化粧品)の承認申請・化粧品基準の改正要請など薬事申請も含めて、開発に際しての動物実験は廃止している

との内容を改めて確認しました(※医薬部外品については、薬用化粧品のみを対象)。
ただし、輸入化粧品に対して動物実験を課している中国への輸出や、化粧品による事故が発生した場合の原因究明など、動物実験を例外的に行う条件設定は、これまで動物実験廃止を表明した他の大手企業と同様です。
上述のJAVAに対する回答や、公式ウェブサイトに掲載した方針のなかの但し書きにも「市場にある製品に関して、改めてその安全性を証明する必要が生じ、そのための選択肢が動物実験しかない場合」が挙げられていますが、実際、花王の100%子会社で研究体制を統合した株式会社カネボウ化粧品の美白化粧品が白斑症状を引き起こした事故が記憶に新しいなか、現在は厚生労働省の研究班や日本皮膚科学会の特別委員会、そして花王グループ・カネボウ化粧品のプロジェクトチーム等によって原因究明に向けた研究が行われており、そのなかで少なくない数の動物実験が行われていること、カネボウ化粧品が設立した「化学物質(ロドデノール)による白斑研究基金」からも動物実験を含む研究に対して助成金が支給されています。
(関連:カネボウ美白化粧品による白斑事故 動物実験は残酷で、無意味だった

とはいえ、上記のような例外はあるにせよ、過当競争のなかで特に大企業にとって手放しがたかった新規原料開発を放棄した、その方針をグループ全体で共有し、それを公表した、という事実は極めて大きな決断です。その点については評価し、このような動きを歓迎したいと思います。

■次なる課題は原料調達先の動物実験全廃
これまで複数の大手化粧品企業に対して「自社における動物実験の実施の取りやめ」「外部への動物実験の委託の取りやめ」という決断を促してきたなかで、原料調達先における動物実験の問題が、新たな課題として浮かび上がってきています。
(関連:動物実験、化粧品の原料業界の動向は?第7回化粧品産業技術展に行ってきました
つまり、消費財メーカーとしての化粧品企業が「動物実験を廃止した」と公言しているにもかかわらず、その製品の原料に対して原料メーカーにおいて動物実験が行われているようでは、動物実験を行わないという方針は機能しているとは言えません。その方針は、原料調達先をはじめとするサプライチェーン全体に到達し、共有され、順守されて初めて機能するものと考えます。
そこで、CFBからは、花王グループとして、動物実験の削減・廃止と動物実験代替法利用による動物愛護への配慮を加えた、新たな原料調達ガイドラインを策定し、サプライチェーン全体における脱・動物実験に貢献してほしいと要望しました。

意見交換の具体的な内容、CFBの要望内容など詳細については後日改めて報告します。
こちらもぜひご覧ください>美しさに犠牲はいらないキャンペーン

posted by 化粧品プロジェクトスタッフ at 17:15 | TrackBack(0) | 対企業